犬がいる家こそ「在宅避難」を第一候補に|成立させる条件と備え方

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「ビビリなうちの子を連れて、避難所で何日も過ごせる気がしない…」
避難と聞くと、小学校の体育館で過ごす光景を思い浮かべて、そんな不安を感じていませんか?
ビビリなノアを連れて、あの環境で過ごせるのかな…?わが家もずっと不安だったんだよね。
でも、避難=避難所に行くこと、とは限らないんだ!犬と暮らす家庭にはもう1つの有力な選択肢、「在宅避難」があるんだよ〜
この記事では、在宅避難が犬連れに向いている理由と、在宅避難を選んでいい条件、そのために必要な備えを、防災初心者の飼い主目線でまとめます。
自宅が安全なら「在宅避難」が犬にも飼い主にも負担が少ない
先に結論です。自宅が安全な状態を保てるなら、犬がいる家庭は「在宅避難」を第一候補に考えるのがおすすめです。
- 在宅避難=避難所に行かず、住み慣れた自宅で生活を続ける避難のかたち
- 電気や水道が止まっても、備蓄でしのぎながら過ごす
- ただし「自宅が安全なら」が大前提。浸水・土砂災害の危険や、地震で建物が傷んでいる場合は選べない
内閣府の資料にも「安全な場所にいる人は、避難場所に行く必要はありません」と書かれているんだ!避難所に行くことだけが避難じゃないんだよ〜
※出典は内閣府「避難情報のポイント」(PDF)。台風・豪雨時の避難の考え方として書かれています。
大事なのは、「自宅が安全なら」という前提の確認が先だということ。この確認方法は、このあとの章でくわしく説明します。
在宅避難が犬連れの家庭に向いている3つの理由
なぜ犬がいる家庭にとって在宅避難が有力なのか。理由は大きく3つあります。
理由1:環境の変化に弱い犬のストレスを減らせる
犬は環境の変化にとても敏感な動物だと言われています。
知らない場所、知らない人、知らない音に囲まれる避難所では、食欲が落ちたり、体調を崩したりする子も少なくないそうです。
その点、在宅避難なら「いつもの家、いつものにおい、いつもの寝床」のまま過ごせます。ビビリな性格の子ほど、この差は大きいはずです。
いつものベッドで、いつものごはん。ぼくたちにとっては、それがいちばんの安心なんだ〜
理由2:鳴き声やにおいの気兼ねがいらない
避難所は動物が苦手な人やアレルギーのある人も一緒に過ごす場所です。
多くの避難所では、ペットは人の居住スペースとは別の場所で管理される「同行避難」が基本とされています。
※出典は環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」。ルールは自治体によって異なります。
うちのノアはインターホンにも吠えまくるだろ。避難所だと「鳴いて迷惑をかけないか」って気疲れも相当なものになりそうだな…。
在宅避難なら、その気兼ねから解放されます。
理由3:感染症や衛生面のリスクを避けやすい
多くの人と動物が集まる避難所では、次のようなリスクが高まると言われています。
- 人も動物も感染症にかかりやすくなる
- 犬同士のケンカやトラブルが起こりやすい
- ノミ・ダニをもらってしまう心配がある
持病がある子やシニアの子は、なおさら心配ですよね…。
そもそも、避難所にペットを受け入れる体制があるかどうかは自治体や避難所ごとに差があるのが現実です。
「避難所に行けば何とかなる」とは限らないからこそ、在宅避難という選択肢を持っておく意味があります。
くわしくは避難所に犬が入れないケースと選択肢をまとめた記事でどうぞ。
わが家は犬と在宅避難できる?判断のための3つのチェック
ここが今日いちばん大事なところです。在宅避難は「自宅にいれば安心」という意味ではありません。
危険な場所にいるなら、迷わず避難することが大前提です。次の3つを順番に確認してみてください。

チェック1:ハザードマップで浸水・土砂災害のリスクを見る
まず、自宅の場所が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っていないかを確認します。
お住まいの自治体のハザードマップか、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で住所を入れるだけで確認できます。
- 自宅に色が付いていない:在宅避難を考えてOK
- 浸水や土砂災害の色が付いている:台風や大雨のときの在宅避難は原則なし
内閣府の資料でも、危険な場所にいる人は警戒レベル4までに全員避難とされています。
チェック2:建物の耐震性を確認する
地震に対しては、建物そのものの強さがポイントです。一般に、1981年6月以降の「新耐震基準」で建てられた建物は、それ以前のものより地震に強いとされています。
「うちはいつ建てた家だっけ?」という人は、建築確認済証や契約書類の日付を見てみてくださいね。
築年数が古い家の場合は、自治体の無料耐震診断などの制度が使えることがあります(内容は自治体によって異なります)。
また、新しい建物でも、大きな地震のあとに壁の亀裂や傾きなど明らかな損傷があれば、その家にとどまるのは危険です。
なお、建物が無事でも、大きな家具が倒れてくれば家の中は危険になります。家具の固定を含めた犬の部屋の安全対策の記事もあわせてどうぞ。
チェック3:「在宅避難=閉じこもる」ではないと理解しておく
在宅避難はあくまで「自宅が安全な場合」の選択肢です。状況は災害の種類やそのときの被害によって変わります。
- 大雨・台風:ハザードマップで危険な場所なら、早めに避難所や安全な親戚宅へ
- 地震:建物が無事なら在宅避難、損傷があれば避難
- 迷ったら:「危険かも」と思った時点で避難を選ぶ
「在宅避難を第一候補に」というのは、「何があっても家にいる」という意味ではありません。
危険なら犬を連れて迷わず逃げる。安全なら家で犬と過ごす。この使い分けができる状態がゴールです。
また、どれだけ備えていても、災害の規模によっては在宅避難を選べないことがあります。だからこそ、避難所や車中泊など、ほかの選択肢もあわせて知っておくことが大切です。
犬との在宅避難を成立させる備え|水・食料・トイレ・停電対策
在宅避難ができるかどうかは、結局「ライフラインが止まった家で、家族と犬が何日暮らせるか」で決まります。優先順位の高いものから見ていきましょう。
水・食料・トイレは「人間5〜7日分+犬の分」
大きな災害では、支援が行き渡るまで1週間程度かかる場合もあると言われています。備蓄の目安は次のとおりです。
| 品目 | 目安 |
| 飲料水(人間) | 1人1日3リットル×5〜7日分 |
| 食料(人間) | 1人5〜7日分(食べ慣れたものを多めに) |
| 携帯トイレ(人間) | 1人1日5回×5〜7日分が目安 |
| 犬の水・フード | 5〜7日分(できれば多めに) |
| 犬のトイレ用品 | ペットシーツ・うんち袋を多めに |
犬の水やフードを具体的に何リットル・何グラム用意すればいいかは体重によって変わります。
犬の水とフードの備蓄量を体重から計算する方法をまとめた記事を参考に、うちの子の分を出してみてください。
療法食や持病の薬がある子は、切らさない工夫についてかかりつけの獣医師にも相談しておくと安心です。
停電・断水への対策
在宅避難の生活の質を左右するのが停電・断水対策です。最低限そろえたいのは次のものです。
- モバイルバッテリー(できれば大容量のものやポータブル電源)
- LEDランタン・懐中電灯(火を使うろうそくは犬がいる家では避けたい)
- カセットコンロとガスボンベ(お湯が作れると食事の幅が広がります)
- 生活用水(お風呂の残り湯をためておく、ポリタンクなど)
- 夏・冬の温度対策(保冷剤、毛布など。犬は温度変化に弱い子もいます)
特に夏の停電は、犬の熱中症に直結します。停電時の犬の熱中症対策をまとめた記事で、暑さ対策をくわしく紹介しています。
情報収集の手段と「避難所との付き合い方」
在宅避難中も、給水車の情報や支援物資の配布情報は必要です。スマホに加えて、電池式や手回し式のラジオがあると停電時も安心です。
自治体の防災アプリや公式SNSも、平常時のうちに登録しておきましょう。
在宅避難を選んだら、避難所とはもう関係なし…ってことでいいんだよね?
実は、そうとも限りません。
在宅避難をしていても、支援物資や情報は最寄りの避難所に取りに行くことになる場合があると言われています(自治体によって異なります)。
在宅避難を選んでも避難所と無関係にはならないので、最寄りの避難所の場所とペットの受け入れ方針は確認しておきたいところです。
受け入れ方針の調べ方は、ペット同伴避難所の調べ方を5ステップでまとめた記事で紹介しています。
わが家の場合|ハザードマップを見て在宅避難に決めました
わが家のノアはとてもビビリで、インターホンの音にすら吠えまくるタイプです。
知らない人だらけの避難所で長期間過ごす姿が正直想像できず、わが家は「自宅が安全なら在宅避難」を第一候補にしています。
この記事を書くにあたって、あらためてハザードマップと建物を確認しました。結果はこちらです。
- ハザードマップ:浸水・土砂災害とも色なし
- 建物:新耐震基準の戸建て
- わが家の結論:建物が無事なら、家でノアと過ごす
ここまで確認できたことで、「うちは在宅避難でいける」と迷いなく決められました。
ただし、自宅に住めなくなる最悪のケースも考えて、避難所で過ごせる準備も並行して進める二段構えにしています。
おうちで過ごすなら、ごはんとお水の備えも大事なんだよね〜
備蓄は、水とノアのフードをようやく5日分以上そろえられました。
次の宿題は、携帯トイレとポータブル電源の2つ。こちらも少しずつそろえていきます。
よくある質問|犬との在宅避難
Q. マンションの高層階でも犬と在宅避難できますか?
A. 建物が安全なら高層階でも選択肢になります。ただしエレベーター停止への備えが必要です。
建物が安全であれば、高層階でも在宅避難は選択肢になると言われています。ただし停電でエレベーターが止まると、犬を抱えての階段の上り下りや水の運搬がかなりの負担になります。
高層階のご家庭は、備蓄を少し多めにする・軽い水の運び方(小分けのペットボトルなど)を考えておくと安心です。
Q. 在宅避難中、犬の散歩やトイレはどうすればいいですか?
A. 無理に散歩には出ず、室内トイレを平時のうちに練習しておくのがおすすめです。
災害直後はガラスの破片や電線など足元の危険が多いため、無理に散歩に出ない方がよい場合があります。
外でしか排泄しない子は、平時のうちに室内のペットシーツでできるよう練習しておくと、在宅避難の大きな助けになると言われています。
うまくいかない場合は、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
Q. 備蓄した犬のフードの期限管理はどうすればいいですか?
A. 多めに買って古いものから使う「ローリングストック」が管理しやすい方法です。
ふだん食べているフードを1〜2袋多めに買っておき、古いものから使っては買い足していきます。
開封後のドライフードは風味が落ちやすいとされるので、備蓄分は未開封のまま保管し、賞味期限を半年に1回ほど見直すのが目安です。
まとめ|「危険なら逃げる、安全なら家で守る」を決めておこう
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 避難=避難所とは限らない。自宅が安全なら「在宅避難」が犬にも飼い主にも負担が少ない
- ただし前提条件の確認が先。ハザードマップと建物の耐震性をチェック
- 危険な場所にいるなら在宅避難は選ばず、警戒レベル4までに全員避難が行政の考え方とされている
- 備えの柱は水・食料・トイレを「人間5〜7日分+犬の分」、そして停電・断水対策と情報収集手段
- 在宅避難でも支援物資は避難所に取りに行く場合がある。最寄りの避難所の確認も忘れずに
「危険なら逃げる、安全なら家で守る」!この基準が決まっているだけで、いざという時に迷わずぼくたちを守れるんだよ〜
在宅避難の土台になる人間用の備蓄は、ゼロから一つずつ集めるよりセットで整えてしまうのが早道です。
わが家が候補として調べたあかまる防災44点セットを犬の飼い主目線で調査した記事もあわせてどうぞ。
まずは今日、ハザードマップで自宅の色を確認するところから始めてみませんか。
参考文献
この記事は、以下の公的資料を参考に作成しました。









